歯並びとは
正しい歯並びの概念とは?
 一人ひとり、これまでの人生を振り返ってみると、悲喜こもごもいろいろな出来事を経験してきていることと思います。ちょっとオーバーな話かもしれませんが、歯や歯並びについても同じことが言えます。歯が萠えはじめ、子供の歯並びが完成し(1:乳歯のレントゲン)、そして子供の歯が抜けて、大人の歯が萠え、12、13歳ごろに大人の歯並びへと変わっていきます(2:永久歯のレントゲン)。そして、この歯並びで一生を終えるまで60年、70年間を過ごすことになります。この間、少なくとも1度や2度、歯や歯並びについての悩みをもたれたことはないでしょうか(3:治療だらけののレントゲン)?きっと気になったことがあるはずです。そこで、正しい歯並びの概念とは、さらに子供の歯並び、大人の歯並びについて触れたいと思います。

乳歯パントモ
乳歯パントモ
永久歯パントモ
永久歯パントモ
治療だらけのパントモ
治療だらけのパントモ
 
T.歯並びとは?
1.正しい、きれいな歯並びとはどんな状態をいうのでしょうか?
 歯並びの悩みについて触れる前に、正しい、きれいな歯並びとは具体的にどんな状態をいうのでしょうか?困ったことにこのような歯並びを生来持っている人が実際には非常に少ないということです。と言うことは、正しい、きれいな、美しい歯並びは、一種理想像として受け止めることができるかも知れません。正しい、きれいな歯並びを示しますが、(4:正しいきれいな歯並びの例)これと比較してあなたの歯並びはどうでしょうか?
 
正しいきれいな歯並びの例
正しいきれいな歯並びの例
 
・上アゴ、下アゴは歯の植わっている土台ですが、その土台がまがっていませんか?左右にズレていませんか?前後にズレていませんか?(5:土台のズレと顔のゆがみ)
・歯並びを構成しているのは、歯の形や大きさ、さらには歯の数ですが、一つひとつの歯に問題はありませんか?上下、左右で数は同じですか?(6:歯数異常のレントゲン写真)
・上の歯が下の歯を適正な関係で覆っていますが、歯の位置に問題があり、上下の歯の間に間隔が空き過ぎていませんか?(7:開咬と言う不正の例)
・上アゴは動きませんが、下アゴは関節を介し、動きますが、その下アゴがスムーズに動きますか?

土台のズレと顔のゆがみ
土台のズレと顔のゆがみ
歯数異常のレントゲン写真
歯数異常のレントゲン写真
開咬と言う不正の例
開咬と言う不正の例
 
 などなど。すなわち、正しい、きれいな歯並びとは一つひとつの要素が見た目にも、機能的にもバランスの良い状態にある歯並びということになります。機能的に優れているものはデザイン的にもきれいといえます。また、形のきれいなものは、機能的にも優れているものが多いのも事実です。白い、真っ直ぐな奇麗な歯並びの概念がお分かり頂けますでしょうか?

2.歯並びの悩みにはどんなものがあるのでしょうか?
 歯並びの相談に見える患者さんの悩みの一つは見た目、すなわち審美的な問題です。もう一つはうまく噛めない、話す時に音がもれるなどの機能的な悩みと言ってもいいでしょう。これらの問題は、今述べた一種理想的な状態からどれだけ外れているか、そして、その外れている度合いは個人、個人によって異なり、かつそれを気にするかどうかも個人、個人によって異なると言えるでしょう。それでは、その見た目の悩みとは具体的にどのようなことなのでしょうか?
 例えば、上あごと下あごの前歯が噛み合っていない状態を例にとってみましょう。この場合、前後的にズレている(8 :反対咬合の治療例_1_治療前、2_治療後)、上下的にズレている(9 :指しゃぶりの治療例_1_治療前、2_治療後)、水平的すなわち左右にズレている、(10 :外科矯正治療の例_1_治療前、2_治療後)などいろいろな状態が考えられますが、ひどい場合にはすべてにズレが認められ、その結果、顔の輪郭にも影響が及びます(5のマンガを参照)。一方、土台のアゴにはズレがなく、上下の歯が正しく噛み合わない場合には、歯が不揃いで、正しく並んでいないと考えられます(11 :デコボコの治療例_1_治療前、2_治療後)。
 アゴがズレ、かつ歯も不揃いであると当然のこととして上の歯と下の歯が噛み合いませんから下アゴがスムーズに動かない、うまく噛めない、音が漏れるなどの機能的な問題を持つことになります。このように見た目と機能とは密接に関係しています。

反対咬合の治療例
反対咬合の治療例
指しゃぶりの治療例
指しゃぶりの治療例

外科矯正治療の例
外科矯正治療の例
デコボコの治療例
デコボコの治療例

3.歯並びの悪いことは病気でしょうか?
 それでは歯並びの悪いことは病気でしょうか?あなたの周囲を見渡してみて、正しい、きれいな歯並びの人を捜してみて下さい。先程もお話しましたが、歯並びの悪い人の方が多いのではないでしょうか?歯並びのきれいな人に聞いてみたら、以前に矯正治療をしたことがあるというのはよくある話です。すなわち、歯並びの悪いことが病気だとすると、ほとんどの人が病気ということになってしまいます(12:口元の写真12345)。スポーツ選手でも歯並びの悪い人が沢山いることは、オリンピックのメダリスト達がテレビに映し出され、感じ取られた人は多いのではないでしょうか?八重歯は病気でしょうか?病気な選手が世界の桧舞台で活躍などできるはずがありません。
 また、歯並びを治すことは二重まぶたするとか、鼻を高くするなどの美容整形と同じものと考えていいのでしょうか?ちょっと違うような気がしませんか?そうです。歯並びを治すこととは、お口の環境を整えると言う意味です。成長期にある子供では、口腔環境が良い状態にあると正しい、きれいな歯並びになる可能性が高まります。また、上手にものを噛めたり、上手に発音したりすることができるようになる可能性も高まります。そして、歯並びがきれいであることは、笑みも美しく、人に好印象を与えることなります。それは、自分に自信が持てるようになり積極的な生活を営む可能性を高めることになります。すなわち、歯並びを治すことを一種のフィットネス、ウェルネスと考えると(あるいは健康志向型の生活あるいは生活の質の向上を図る生活)、矯正治療の意義を理解して頂けるものと思います(13:歯並びの悪いことは病気ではない)。このように歯並びの悪いことを病気として捉えるのではなく、また、治すかどうかの気持はその時の価値観にも大きく影響されると言えるでしょう。八重歯が可愛いと思うかどうかは、グローバルスタンダードや時代背景によって変わって来たと思います。微笑んだときに見える白い、真っ直ぐな歯並び、またすっきりした口元は一つの財産ではないでしょうか?最近では、タレントやモデルさんたちに歯並びの悪い人を捜すのが難しく時代になってきました。さて、あなたの歯並びをどうお考えになりますか?

口元の写真 口元の写真 口元の写真 口元の写真 口元の写真 歯並びの悪いことは病気ではない
口元の写真
歯並びの悪いことは病気ではない